パソコンをはじめとした情報通信機器を廃棄する際には、機密情報を漏えいさせないためにデータ消去や記憶装置の物理破壊を行う必要があります。とはいえ、「機器をそのまま社外へ持ち出すこと」自体に不安を覚える方も少なくないのでは。企業によっては機器の外部への持ち出しを禁止しているケースもあります。
そこで興栄商事では、専門スタッフがお客さま先へ出張してデータ消去や物理破壊にあたる「オンサイト作業」を実施しています。最近ではご依頼が急増しているオンサイト作業。その工程や体制について、ITADセンター長の千葉に聞きました。
データ消去・物理破壊を確実に行い、お客さまの負荷を軽減する
――オンサイトとは、どのようなサービスなのでしょうか?
千葉:当社ITADセンターのスタッフがお客さまの事務所や倉庫、データセンターなどにお伺いして、現地でデータ消去や記憶装置の物理破壊を行うサービスです。「パソコン10台」といったご依頼から、「データセンターでの大規模な作業」といった大がかりなご依頼、機器に接続されたハードディスクなどの記憶装置を安全に取り外せる状態にする「アンマウント作業」など、幅広く対応しています。
近年では情報通信機器の廃棄にあたって「完全にデータを破壊したい」というニーズが多いため、現場では専用機械を使ってハードディスクに穴を空ける物理破壊を行うことがほとんどです。
また、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、オンサイトを担当するスタッフは抗原検査を実施した上でお客さま先へ伺っています。
――ご依頼いただくお客さまの業種や企業規模には、どのような傾向がありますか?
千葉:業種や規模に関わらず、全体的にオンサイト作業のご依頼が増え続けている状況です。動かしづらいデータセンターや大型サーバーなどを保有する大手IT企業様にもご利用いただいています。
――大手IT企業でも自社でデータ消去や物理破壊を行うのは難しいのでしょうか。
千葉:自社でハードディスクを破壊されているケースもあると思いますが、専用機械を使わないで作業した場合は「きちんと穴があいていなかった」など、物理破壊を徹底できずに機密情報が残ってしまう危険もあります。
また、一般企業の方々にとっては情報通信機器の廃棄はメイン業務ではなく、専門知識を持つ方は少ないと思います。企業によっては機器を外部へ持ち出すこと自体を禁止している場合もあります。このような状況で、「自社だけで作業するのは不安」といった背景から興栄商事へご相談いただくことが多いのです。興栄商事に任せていただくことで、お客さま側の負荷を大きく軽減することもできます。
「作業前よりもきれいに」。専用機器や工具だけでなく掃除機も持参
オンサイト用工具の準備
――オンサイト作業はどのような手順で進めるのでしょうか?
千葉:まずは事前準備として、お客さまへのヒアリングを通じて対象となる機器のリストを確認します。
一口にパソコンといっても、実はメーカーや機種によってデータ消去や物理破壊の手順はさまざまです。たとえば「Mac book」などのApple社の製品の場合は、記憶装置を取り出すための専用工具が必要となります。そのため、私たちは営業と連携して、事前に対象機器の型番ごとに詳しく確認して万全の準備を整えるようにしています。また、サーバーレールなどの付属品も含めて撤去する場合は、その作業手順も事前に確認します。
一連の事前準備が終われば、お客さまは対象機器を揃えて作業当日をお待ちいただくだけで大丈夫です。当日は私たちが責任を持って作業を進めます。
――お客さま先での作業にあたり、特に気をつけていることはありますか?
千葉:スタッフは「作業後には作業前よりもきれいにして帰る」「当たり前のことを真剣に行う」という意識を徹底しています。私たちは専用機器や特殊な工具はもちろん、作業用デスクも含めたセットを一式揃えてお客さま先へ伺います。作業場所によっては養生のための準備も行い、作業後に現場をきれいにするための掃除機も持参しています。
データ消去や物理破壊の確かさはもちろん、作業現場への配慮を徹底することも、お客さまに安心してお任せいただくためには欠かせないと考えています。
ITADセンター長 千葉
より多くのニーズに応えられるよう、高いレベルの人材育成を
――オンサイト作業のご依頼は増え続けているとのことですが、今後はどのような体制作りを考えていますか?
千葉:直近では、さまざまな場所へ機動的に伺えるようコンパクトな3t車を配備しました。加えて重視しているのが人材育成です。今期は採用も拡大して、体制強化を進めていきます。
かつては「作業担当者」と「回収を担うドライバー」は別々の職種でしたが、今後はドライバーがデータ消去や物理破壊を担当できるようにし、より多くのニーズにお応えしていきたいと考えています。
現在は横浜金沢リサイクルセンターのセキュリティルームで専門知識の研修を行い、データ消去から物理破壊までの作業を一通り対応できるように育成を進めています。膨大な数の機器の特徴を覚えることも必要で、人材育成は一朝一夕にできるものではありませんが、妥協せずに高いレベルで対応できる人材を育てたいと思っています。
将来的には、お客さま先のICT環境全般をコンサルティングできるような体制へ進化していきたいという展望もあります。「興栄商事なら安心して相談できる」と言っていただけるよう、これからも全力でITAD事業を推進していきます。